簿記を勉強していると、
損益計算書(P/L)
貸借対照表(B/S)
キャッシュフロー計算書(C/F)
という3つの書類が出てきます。
この3つは、まとめて「財務三表」と呼ばれます。
名前だけ見ると、いきなり難しそうですよね。
でも、それぞれの役割は意外とシンプルです。
ざっくり言ってしまえば、
損益計算書=1年間でどれだけ儲けた?
貸借対照表=今、何を持っていて、借金はいくら?
キャッシュフロー計算書=実際のお金はどう動いた?
を見るためのものです。
今回は、この財務三表の違いをざっと見ていきましょう。
このページの内容
損益計算書は「今期の成績表」
損益計算書は、一定期間の売上・費用・利益をまとめたものです。
たとえば1年間で、
「いくら売れたのか」
「そのためにいくら使ったのか」
「最終的にいくら儲かったのか」
が分かります。
つまり、会社の今期の成績表です。
映画にたとえるなら、損益計算書は映画一本分の物語です。
物語のスタートからエンディングまでを見て、
「今年の会社はどんな結果だったの?」
を確認するわけです。
貸借対照表は「会社の健康診断書」
一方、貸借対照表は、ある時点で会社がどんな状態なのかを表します。
たとえば決算日に、
「現金はいくらある?」
「商品はいくら持っている?」
「建物や機械はいくらある?」
「銀行からいくら借りている?」
「会社自身のお金はいくらある?」
といったことが分かります。
映画にたとえるなら、こちらは映画の最後の一場面を写真に撮ったものです。
損益計算書は「期間」。
貸借対照表は「時点」。
まずはこの違いを覚えておきましょう。
バランスシートは「左」と「右」で考える
貸借対照表は「バランスシート(B/S)」とも呼ばれます。
初心者の場合、細かい勘定科目を全部覚えるより、
左側=お金を何に使っているか
右側=そのお金をどこから集めたか
と考えると理解しやすくなります。

左側は「お金の使い道」
左側には資産があります。

現金、売掛金、商品、材料、建物、機械などです。
つまり、
「会社のお金が現在どんな姿になっているのか」
を表しています。
現金のまま残っていることもあれば、材料になっていることもあります。
材料から商品を作って販売すれば、
現金 → 材料 → 仕掛品 → 製品 → 売掛金 → 現金
というように姿を変えていきます。
会社を大きな「現金製造機」と考えると分かりやすいでしょう。
現金を投入し、会社の中でグルグル回して、最初より多くの現金として戻ってくる。
これが商売の基本的な仕組みです。
右側は「お金の出どころ」
では、その現金は最初にどこから持ってきたのでしょうか。
それを見るのが貸借対照表の右側です。
右側には大きく、
負債
純資産
があります。
たとえば銀行から500万円を借りれば、右側の「借入金」が500万円増えます。
同時に左側の「現金」も500万円増えます。
その500万円で機械を買えば、現金は減りますが、今度は左側の「機械」が増えます。
つまり、
右側=どこから500万円を持ってきた?
左側=その500万円を何に使った?
という関係です。
まずは、
左=お金の使い道
右=お金の出どころ
これだけ押さえておけば、バランスシートはかなり見やすくなります。
では「利益」と「現金」は同じなの?
ここで一つ疑問が出てきます。
損益計算書を見れば利益が分かるのだから、
「利益が分かれば、会社にいくらお金があるかも分かるんじゃないの?」
と思いますよね。
ところが、そうではありません。
たとえば商品を100万円で販売したとします。
損益計算書では売上になります。
しかし、
「代金は来月払います」
という取引だったらどうでしょう。
売上は100万円発生していても、まだ100万円の現金は入ってきていません。
反対に、銀行から500万円を借りれば、会社の現金は500万円増えます。
しかし、借金をしただけなので500万円の利益が出たわけではありません。
つまり、
利益と現金は別物
なのです。
そこで登場するのが3つ目の決算書です。
キャッシュフロー計算書は「現金の流れを見る表」
キャッシュフロー計算書(C/F)は、その名のとおり現金の流れを見るためのものです。
「会社に現金がどこから入ってきたのか」
「その現金を何に使ったのか」
を確認します。
キャッシュフロー計算書では、現金の動きを大きく3つに分けます。
営業活動によるキャッシュフロー
投資活動によるキャッシュフロー
財務活動によるキャッシュフロー
です。
キャッシュフローを「水道」で考えてみる
ここは水道をイメージすると分かりやすくなります。
会社が本業で稼いで作り出した現金を、水槽にたまった「水」だと考えてみましょう。
この会社のお金が、さまざまな目的に使われていきます。

投資用
会社が新しい機械などの固定資産を購入するためのお金です。
たとえば、もっと商品を作るために新しい「現金製造機」を購入する。
こうした設備投資などに関係する現金の動きが、投資活動によるキャッシュフローです。
財務用
会社は銀行からお金を借りたり、借りたお金を返したりします。
こうした資金調達や返済に関係する現金の動きが、財務活動によるキャッシュフローです。
株主用
会社が稼いだお金の一部を株主に配当することもあります。
これも会社から現金が出ていく動きです。
図では分かりやすく「株主用」という蛇口を別にしていますが、会計上、配当金の支払いは財務活動によるキャッシュフローに含まれます。
つまり水道の絵では、
投資用の蛇口 → 投資CF
財務用の蛇口 → 財務CF(借入・返済など)
株主用の蛇口 → 財務CF(配当など)
と考えると分かりやすいでしょう。
利益が出ていても現金がない会社はある
ここがキャッシュフロー計算書の重要なところです。
損益計算書では利益が出ている。
でも、売掛金ばかり増えて現金が入ってこない。
さらに機械を購入して現金をたくさん使っている。
こうなると、
「黒字なのに現金がない」
という状態も起こります。
逆に赤字でも、銀行から大きな借入をすれば、一時的に現金が増えることがあります。
だから会社を見るときは、利益だけではなく、
「実際に現金がどう動いているのか」
も重要なのです。
財務三表は会社を3方向から見るもの
最後に整理してみましょう。
損益計算書(P/L)
会社は1年間でどれだけ儲けたのか?
売上・費用・利益を見る、会社の成績表です。
貸借対照表(B/S)
会社は決算日にどんな状態なのか?
資産・負債・純資産を見る、会社の健康診断書です。
キャッシュフロー計算書(C/F)
会社の現金は1年間でどう動いたのか?
現金の入口と出口を見る、会社のお金の流れ図です。
この3つをまとめて**「財務三表」**と呼びます。
ざっくり覚えるならこれだけ
最初から難しい会計用語を全部覚える必要はありません。
まずは、
P/L = 儲かった?
B/S = 今どうなってる?
C/F = 現金どう動いた?
くらいで大丈夫です。
映画にたとえるなら、
P/Lは「1年間の物語」
B/Sは「最後の一場面」
C/Fは「お金の動きを追った記録」
です。
3つを別々に暗記するのではなく、同じ会社を違う角度から見ている3枚の資料だと考えてみてください。
そうすると、難しそうに見える「財務三表」が少しずつつながって見えてきます。

