株価が上がり始めると、「今から買っても間に合うのか」と迷います。
反対に、持っている株が上昇していると、「まだ上がりそうだから売りたくない」「でも急落したら困る」と、逃げ時が分からなくなります。
こうした買い時と逃げ時を考える材料になるのが、エリオット波動です。
エリオット波動では、相場は一直線に上昇するのではなく、上昇と小さな調整を繰り返しながら、第1波から第5波まで進むと考えます。
その後は、A波・B波・C波という調整に入るのが基本形です。
大切なのは、波の数だけで売買を決めることではありません。
「今は上昇の初めなのか」「上昇の終盤なのか」「一時的な反発に見えているだけなのか」を整理するために使います。
このページの内容
- 1 結論|買い時は上昇の初め、逃げ時は第5波の終了確認
- 2 エリオット波動は「トレンド」と「調整」の繰り返し
- 3 第1波|まだ多くの人が上昇に気づいていない
- 4 第2波|最初の買い時候補になる押し目
- 5 第3波|最も上昇の勢いが強くなりやすい
- 6 第4波|利益確定による調整が入りやすい
- 7 第5波|買い時よりも逃げ時を考えたい場面
- 8 A波|最初の下落は押し目に見えやすい
- 9 B波|一番間違えやすい「だましの上昇」
- 10 C波|調整の最後に下落が強まることがある
- 11 今回のチャートはどの位置に見えるのか
- 12 買い時を判断するためのチェックポイント
- 13 逃げ時を判断するためのチェックポイント
- 14 エリオット波動で失敗しないためのコツ
- 15 まとめ|第5波で飛びつかず、確認してから動く
結論|買い時は上昇の初め、逃げ時は第5波の終了確認
エリオット波動の基本的な考え方では、買い時の候補になりやすいのは、次のような場面です。
・第2波の押し目が終わり、第3波の上昇が始まる場面
・第4波の調整が終わり、第5波へ向かう場面
・ABC調整が完了し、新しい上昇が確認された場面
一方、逃げ時を考え始めたいのは、次のような場面です。
・第5波で高値を更新した後
・高値圏で長い上ヒゲが出たとき
・短期移動平均線を終値で下回ったとき
・第4波の安値を下回ったとき
ただし、第2波や第4波に見えていた下落が、そのまま本格的な下落へ変わることもあります。
そのため、「第2波だから買う」「第5波だから売る」と機械的に判断するのではなく、価格がどこを超え、どこを割ったかまで確認することが重要です。
エリオット波動は「トレンド」と「調整」の繰り返し
エリオット波動には、大きく分けて2つの局面があります。
1つ目は、トレンド方向へ進む第1波から第5波です。
2つ目は、上昇後に反対方向へ動くA波・B波・C波の調整です。
上昇相場の場合は、次の順番になります。
第1波:最初の上昇
第2波:最初の押し目
第3波:本格的な上昇
第4波:高値圏での調整
第5波:最後の高値更新
A波:上昇後の最初の下落
B波:下落途中の一時的な反発
C波:再び起こる下落
この流れを知っておくと、価格が大きく上がった後に慌てて買ったり、B波の反発を新しい上昇と勘違いしたりする失敗を減らせます。

第1波|まだ多くの人が上昇に気づいていない
第1波は、下落や横ばいが続いた後に始まる最初の上昇です。
この段階では、まだ上昇トレンドが始まったと判断するのは難しく、「一時的に上がっただけ」と見られることもあります。
第1波の途中で買おうとすると、上昇の始まりかどうか分からないため、判断の難しい場面になります。
初心者の場合は、第1波を無理に取りにいくよりも、一度上昇した後の押し目を待つ方が判断しやすくなります。
第2波|最初の買い時候補になる押し目
第1波の上昇後に起こる下落が、第2波です。
第2波では、「やはり上昇は続かなかった」と考えた人が売るため、比較的大きく下がることがあります。
ただし、エリオット波動の基本ルールでは、第2波は第1波が始まった安値を下回りません。
第1波の始点を割らずに下げ止まり、再び上昇し始めた場合は、第3波へ向かう可能性が出てきます。
ここが最初の買い時候補です。
ただし、下落中に慌てて買うのではありません。
・第1波の始点を割っていない
・下落が止まっている
・陽線が出始めている
・短期移動平均線が横ばいから上向きに変わっている
・第1波の高値へ再び近づいている
こうした変化を確認してから考える方が安全です。

第3波|最も上昇の勢いが強くなりやすい
第3波は、上昇5波の中で最も勢いが強くなりやすい波です。
第1波の高値を上回ることで、上昇トレンドに気づく人が増え、買いが集まりやすくなります。
ローソク足では大きな陽線が増え、移動平均線も上向きになりやすい場面です。
第2波の終了を確認して買えた場合は、第3波の上昇に乗れる可能性があります。
一方、第3波がかなり進んだ後に買うと、高値づかみになる危険もあります。
大きな陽線が何本も続いた後に、「まだ上がりそう」と慌てて買うのではなく、現在地が第3波の初めなのか、すでに終盤なのかを考える必要があります。
第4波|利益確定による調整が入りやすい
第3波で大きく上昇した後は、利益確定の売りが出やすくなります。
これが第4波です。
第4波では、価格が下がるだけでなく、高値圏で横ばいになる場合もあります。
この調整で株価が短期移動平均線付近まで下がり、そこで下げ止まれば、第5波へ向かう可能性があります。
ただし、第4波から買う場合は、第2波から買う場合より注意が必要です。
第5波は上昇トレンドの最終局面になりやすく、残された上昇幅が小さい可能性があるからです。
第4波で買う場合は、「少しでも上がればよい」と考えるのではなく、第4波の安値を損失管理の基準として意識する必要があります。
第5波|買い時よりも逃げ時を考えたい場面
第5波では、第3波の高値を超えて、再び高値を更新することがあります。
見た目には非常に強く見えるため、初心者が最も買いたくなりやすい場面です。
しかし、エリオット波動では第5波は上昇の最終局面です。
価格は高値を更新していても、上昇の勢いが第3波より弱くなっている場合があります。
第5波らしい位置では、新しく買うことよりも、持っている株の利益をどう守るかを考えることが重要です。
逃げ時を考えるサインには、次のようなものがあります。
・高値を更新した後に長い上ヒゲが出る
・陽線が小さくなる
・陰線が増える
・出来高を伴って売られる
・短期移動平均線を終値で下回る
・直近の押し安値を割る
長い上ヒゲが1本出ただけで、下落確定とは言えません。
しかし、第5波らしい位置で長い上ヒゲが出た場合は、「まだ上がる」と決めつけず、逃げる準備を始める場面です。

A波|最初の下落は押し目に見えやすい
上昇5波が終わった後に起こる最初の下落が、A波です。
A波の段階では、それまで上昇が続いていたため、多くの人が「いつもの押し目だろう」と考えます。
そのため、下落している株を早めに買ってしまうことがあります。
しかし、第5波の後に短期移動平均線を割り、さらに第4波の安値まで割った場合は、単なる押し目ではなくA波に入った可能性があります。
A波で安易に買うと、その後のC波まで下落に巻き込まれることがあります。
B波|一番間違えやすい「だましの上昇」
A波の下落後に起こる一時的な反発が、B波です。
B波では価格が再び上昇するため、「調整は終わった」「また高値を更新する」と見えます。
しかし、B波は下落途中の反発である可能性があります。
第5波の高値を超えられず、途中で上昇が止まった場合は、B波を疑う必要があります。
初心者が注意したいのは、B波の上昇を新しい第1波と勘違いして買ってしまうことです。
B波で買った後にC波が始まると、買った直後から大きく下がる可能性があります。
「上がり始めたから買う」のではなく、第5波の高値を超えたか、下落トレンドを明確に崩したかまで確認することが大切です。

C波|調整の最後に下落が強まることがある
B波の反発後に再び起こる下落が、C波です。
C波では、A波の安値を下回ることがあります。
A波では押し目だと思っていた人も、C波に入ると上昇トレンドが終わったことに気づき、売りが増えやすくなります。
そのため、C波の途中で値ごろ感だけを理由に買うのは危険です。
C波の終了後は、新しい上昇の買い時候補になりますが、底を正確に当てる必要はありません。
・下落が止まる
・安値を更新しなくなる
・短期移動平均線を上回る
・直近の戻り高値を超える
こうした反転の確認を待つ方が、初心者には分かりやすい方法です。
今回のチャートはどの位置に見えるのか
今回のチャートは、次のように数えることができます。
第1波は、横ばい状態から始まった最初の上昇です。
第2波では、一度価格が下がりましたが、上昇開始前の安値を割らずに反発しています。
その後、大きな陽線を伴って上昇している部分が第3波です。
第3波後の押し目が第4波で、最後に高値を更新した部分が第5波の候補です。
特に気になるのは、第5波らしい位置に長い上ヒゲが出ていることです。
高値では売りに押し戻されたことを示しているため、上昇終了を警戒したい形です。
ただし、現在のローソク足だけでは下落確定とは言えません。
短期移動平均線と第4波の安値を明確に下回れば、A波の下落が始まった可能性が高まります。
反対に、長い上ヒゲの高値を再び突破すれば、第5波がまだ続いている可能性があります。
買い時を判断するためのチェックポイント
買い時を考えるときは、次の項目を確認します。
・上昇前の安値を割っていないか
・下落が止まり、安値を切り上げているか
・短期移動平均線が上向きになっているか
・直近の高値を上回ったか
・すでに第5波まで進んでいないか
・B波の一時的な反発ではないか
すべてを満たす必要はありませんが、確認できる項目が多いほど、単なる値ごろ感だけで買う失敗を減らせます。
逃げ時を判断するためのチェックポイント
持っている株の逃げ時を考えるときは、次の項目を確認します。
・上昇が第5波まで進んでいる可能性があるか
・高値圏で長い上ヒゲが出ていないか
・高値を更新しても上昇幅が小さくなっていないか
・短期移動平均線を終値で割っていないか
・第4波の安値を割っていないか
・B波の反発で売る機会が戻ってきていないか
すべて売るか、すべて持ち続けるかの二択にする必要はありません。
第5波で警戒サインが出たら一部の利益を確保し、第4波の安値を割ったら残りを見直す、という段階的な考え方もあります。
エリオット波動で失敗しないためのコツ
エリオット波動は、後から見ればきれいに数えられても、形成途中では複数の数え方ができます。
時間足を変えると、日足では第3波に見える上昇が、週足では大きな第1波の途中ということもあります。
そのため、自分の予想に合わせて無理に波を数えてはいけません。
基本的な確認点は次の3つです。
・第2波は第1波の始点を超えて下落しない
・第3波は第1波、第3波、第5波の中で最も短くならない
・通常の推進波では、第4波が第1波の価格帯へ重ならない
この条件に合わなければ、波の数え方を見直します。
エリオット波動は未来を断定する理論ではありません。
買い時と逃げ時の候補を整理し、「どこを割ったら考えを変えるのか」を決めるための道具として使うのが実践的です。
まとめ|第5波で飛びつかず、確認してから動く
エリオット波動では、上昇トレンドを第1波から第5波、上昇後の調整をA波・B波・C波として考えます。
買い時の候補になりやすいのは、第2波や第4波の調整が終わり、再び上昇を確認できた場面です。
ABC調整後に新しい上昇が確認された場面も、次の買い時候補になります。
一方、第5波まで進んだ可能性がある場面では、新しく買うよりも逃げ時を考えることが重要です。
今回のように、第5波らしい位置で長い上ヒゲが出た場合は、下落確定ではありませんが、上昇終了への警戒サインになります。
短期移動平均線、第4波の安値、第5波の高値という3つの基準を確認すれば、感情だけで売買する失敗を減らせます。
大切なのは、波の天井や底を完璧に当てることではありません。
買う前に「どこを割ったら間違いと判断するか」、持っているときに「どこを割ったら利益を守るか」を決めておくことです。
※本記事はテクニカル分析の考え方を説明するもので、特定銘柄の売買を推奨するものではありません。実際の投資判断は、ご自身の状況に応じて行ってください。
