商売を始めたとき、財布の中は0円でした。
その後、商品が売れて300円が入ってきました。さらに、商売をするための費用が200円かかりました。
ところが、財布の中には今も300円あります。
「費用が200円かかったなら、財布には100円しか残らないのでは?」
そう思うのは当然です。
実は、簿記では、
- 費用がかかったこと
- 実際にお金を払ったこと
を分けて考えます。
今回は、売上300円、費用200円、現在の現金300円という例を使って、貸借対照表と損益計算書の違いを、小学生でもわかるように説明します。
このページの内容
- 1 今回の商売の内容
- 2 まずは商品が売れて300円入った
- 3 費用200円がかかったが、まだ支払っていない
- 4 コツ1 「費用がかかった」と「お金を払った」を分ける
- 5 損益計算書は「どれくらいもうかったか」を見る表
- 6 財布に300円あるのに、利益は100円
- 7 コツ2 現金と利益は別のものと考える
- 8 貸借対照表は「今の会社の状態」を見る表
- 9 コツ3 貸借対照表の左と右を「財布の中身」と「その説明」に分ける
- 10 損益計算書と貸借対照表は何が違うのか
- 11 コツ4 損益計算書は「期間」、貸借対照表は「今」
- 12 費用200円を支払ったらどうなる?
- 13 支払ったときに、もう一度費用にはしない
- 14 コツ5 同じ費用を2回数えない
- 15 わからなくなったときの3つの質問
- 16 今回の流れをまとめると
- 17 損益計算書
- 18 貸借対照表
- 19 まとめ|貸借対照表と損益計算書がわかる5つのコツ
今回の商売の内容
今回の状況は次のとおりです。
| 内容 | 金額 |
|---|---|
| 商売を始めたときの現金 | 0円 |
| 商品を売って入った現金 | 300円 |
| 商売にかかった費用 | 200円 |
| 現在の現金 | 300円 |
売上が300円あり、費用が200円かかったのに、財布には300円残っています。
なぜでしょうか。
答えは、費用200円をまだ支払っていないからです。
まずは商品が売れて300円入った
商品を売って、現金300円を受け取りました。
簿記では、次のように記録します。
| 左側・借方 | 金額 | 右側・貸方 | 金額 |
|---|---|---|---|
| 現金 | 300円 | 売上 | 300円 |
この仕訳は、
現金が300円増えて、300円分の売上があった
という意味です。
商売を始めたとき、財布の中は0円でした。
そこに300円が入ったので、現在の現金は300円になります。
費用200円がかかったが、まだ支払っていない
次に、商売をするために200円の費用がかかりました。
たとえば、電気代や広告費などです。
ただし、請求書が届いただけで、支払日はまだ先だとします。
簿記では、次のように記録します。
| 左側・借方 | 金額 | 右側・貸方 | 金額 |
|---|---|---|---|
| 費用 | 200円 | 未払金 | 200円 |
未払金とは、
費用はかかったけれど、まだ払っていないお金
のことです。
費用は200円かかっていますが、現金はまだ出ていません。
そのため、財布の中には300円がそのまま残っています。
コツ1 「費用がかかった」と「お金を払った」を分ける
貸借対照表と損益計算書を理解する最初のコツは、次の2つを分けることです。
費用がかかった
商品やサービスを使い、支払う必要が生まれた状態です。
お金を払った
実際に財布や銀行口座から、お金が出ていった状態です。
費用がかかった日に、必ずお金を払うとは限りません。
たとえば、8月に使った電気代を9月に支払うことがあります。
この場合、8月に費用は発生していますが、8月の現金はまだ減っていません。
費用と支払いは、別の日になることがある。
これが一つ目の大切なコツです。
損益計算書は「どれくらいもうかったか」を見る表
損益計算書は、一定期間の商売の成績を表します。
簡単にいえば、
売上から費用を引いて、どれくらいもうかったかを見る表
です。
今回の損益計算書は、次のようになります。
| 左側・費用 | 金額 | 右側・収益 | 金額 |
|---|---|---|---|
| 費用 | 200円 | 売上 | 300円 |
| 当期純利益 | 100円 | ||
| 合計 | 300円 | 合計 | 300円 |
計算は簡単です。
売上300円-費用200円=利益100円
この商売では、100円もうかったことになります。
財布に300円あるのに、利益は100円
ここが、最も混乱しやすいところです。
財布には300円あります。
しかし、利益は100円です。
なぜなら、財布の300円のうち200円は、これから支払わなければならないお金だからです。
小学生のおこづかいで考えてみましょう。
財布に300円入っている
でも、明日200円を返す約束をしている
本当に自分のものとして残るのは100円
財布に入っている金額と、本当にもうかった金額は、必ずしも同じではありません。
コツ2 現金と利益は別のものと考える
二つ目のコツは、
現金と利益を同じものだと思わない
ことです。
現金は、今、財布や銀行口座にあるお金です。
利益は、売上から費用を引いて計算した、商売のもうけです。
今回の例では、
- 現金:300円
- 利益:100円
- まだ支払っていない金額:200円
となります。
財布に300円あっても、300円すべてを自由に使えるわけではありません。
200円は、これから支払うために残しておく必要があります。
貸借対照表は「今の会社の状態」を見る表
貸借対照表は、ある時点で会社が何を持っていて、何を支払わなければならないかを表します。
今回の貸借対照表は、次のようになります。
| 左側・資産 | 金額 | 右側・負債・純資産 | 金額 |
|---|---|---|---|
| 現金 | 300円 | 未払金 | 200円 |
| 当期純利益 | 100円 | ||
| 合計 | 300円 | 合計 | 300円 |
左側には、会社が持っているものを書きます。
今回は現金300円です。
右側には、その300円がどのような性質のお金なのかを書きます。
- 未払金200円:これから支払うお金
- 当期純利益100円:商売によって会社に残った利益
右側の合計は、
未払金200円+利益100円=300円
となります。
左側の現金300円と同じ金額です。
コツ3 貸借対照表の左と右を「財布の中身」と「その説明」に分ける
貸借対照表は、左と右に分かれています。
初心者は、次のように考えるとわかりやすくなります。
左側は「今、何を持っているか」
今回なら、現金300円です。
右側は「そのお金は誰のものか」
今回の300円は、次の二つに分かれます。
- これから支払う相手の分:200円
- 会社に残る分:100円
つまり、貸借対照表は、
左側に財布の中身を書き、右側にその中身の説明を書く表
と考えることができます。
左と右は、必ず同じ金額になります。
損益計算書と貸借対照表は何が違うのか
二つの表の違いを整理してみましょう。
| 表の名前 | 何を見る表か | 今回わかること |
|---|---|---|
| 損益計算書 | 期間中にどれくらいもうかったか | 利益は100円 |
| 貸借対照表 | 今、何を持ち、何を支払う必要があるか | 現金300円、未払金200円 |
損益計算書は、商売の成績表です。
貸借対照表は、会社の今の状態を写した写真です。
損益計算書は動画のようなもの
一定期間に、
- いくら売れたか
- いくら費用がかかったか
- いくらもうかったか
という流れを表します。
貸借対照表は写真のようなもの
ある時点で、
- 現金はいくらあるか
- 借金や未払いはいくらあるか
- 会社に残った財産はいくらか
を表します。
コツ4 損益計算書は「期間」、貸借対照表は「今」
二つの表を見分けるコツは、時間の違いです。
損益計算書
「1年間でどうだったか」という期間の話です。
貸借対照表
「今どうなっているか」という時点の話です。
学校にたとえると、損益計算書は1学期の成績表です。
貸借対照表は、今日の持ち物検査のようなものです。
成績表と持ち物検査は、見るものが違います。
それと同じように、損益計算書と貸借対照表も、役割が違います。
費用200円を支払ったらどうなる?
では、その後、未払金200円を現金で支払ったとします。
仕訳は次のようになります。
| 左側・借方 | 金額 | 右側・貸方 | 金額 |
|---|---|---|---|
| 未払金 | 200円 | 現金 | 200円 |
現金300円から200円を支払うため、残る現金は100円です。
貸借対照表は次のようになります。
| 左側・資産 | 金額 | 右側・純資産 | 金額 |
|---|---|---|---|
| 現金 | 100円 | 当期純利益 | 100円 |
| 合計 | 100円 | 合計 | 100円 |
未払金200円は支払ったため、なくなりました。
一方、利益100円は変わりません。
なぜなら、費用200円は、すでに損益計算書に記録されているからです。
支払ったときに、もう一度費用にはしない
ここも大切なポイントです。
費用が発生したときに、すでに費用200円を記録しています。
その後、現金で200円を支払ったときは、未払金を消すだけです。
支払ったときに、もう一度費用200円を記録すると、費用が合計400円になってしまいます。
そのため、支払時の仕訳は、
未払金を減らし、現金を減らす
という記録になります。
コツ5 同じ費用を2回数えない
費用が発生したときと、支払ったときが別の日になる場合があります。
そのときは、
- 費用が発生した日:費用を記録する
- お金を支払った日:未払金を減らす
と考えます。
同じ費用を2回記録しないことが大切です。
わからなくなったときの3つの質問
簿記の問題で混乱したときは、次の3つを順番に確認すると整理しやすくなります。
1.現金は動いたか
現金が入ったのか、出たのか、まだ動いていないのかを確認します。
2.売上や費用は発生したか
現金が動いていなくても、売上や費用が発生していることがあります。
3.まだ払っていない金額や、まだ受け取っていない金額はあるか
まだ払っていないなら、未払金などが残ります。
まだ受け取っていないなら、売掛金などが残ります。
この3つを別々に考えると、現金と利益の違いが見えやすくなります。
今回の流れをまとめると
今回の商売では、次のような出来事がありました。
最初
現金は0円でした。
商品が売れた
現金300円が入り、売上300円が発生しました。
費用がかかった
費用200円が発生しましたが、まだ支払っていません。
現在
財布には300円あります。
ただし、200円はこれから支払う必要があります。
本当に会社に残る利益は100円です。
損益計算書
| 左側・費用 | 金額 | 右側・収益 | 金額 |
|---|---|---|---|
| 費用 | 200円 | 売上 | 300円 |
| 当期純利益 | 100円 | ||
| 合計 | 300円 | 合計 | 300円 |
売上300円-費用200円=利益100円
貸借対照表
| 左側・資産 | 金額 | 右側・負債・純資産 | 金額 |
|---|---|---|---|
| 現金 | 300円 | 未払金 | 200円 |
| 当期純利益 | 100円 | ||
| 合計 | 300円 | 合計 | 300円 |
現金300円=未払金200円+利益100円
まとめ|貸借対照表と損益計算書がわかる5つのコツ
最後に、今回のポイントをまとめます。
コツ1 費用と支払いを分ける
費用がかかっても、まだ支払っていなければ現金は減りません。
コツ2 現金と利益を同じだと思わない
現金が300円あっても、利益が300円とは限りません。
コツ3 貸借対照表の左は持ち物、右はその説明
左側に現金などを書き、右側に借金や会社に残った利益を書きます。
コツ4 損益計算書は期間、貸借対照表は今
損益計算書は商売の成績表、貸借対照表は会社の今を写した写真です。
コツ5 同じ費用を2回数えない
費用が発生したときに記録したら、支払ったときは未払金を減らします。
貸借対照表と損益計算書を理解するには、難しい言葉を丸暗記するよりも、
現金は動いたのか
売上や費用は発生したのか
まだ払っていないお金はあるのか
を一つずつ確認することが大切です。
財布に300円あるからといって、300円すべてが利益とは限りません。
その300円のうち、誰かに支払う予定のお金がいくらあり、本当に会社に残るお金がいくらなのか。
それを教えてくれるのが、貸借対照表と損益計算書です。

