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株のニュースを見ると、よく「PBRは1倍」「PERは20倍」といった言葉が出てきます。
難しい暗号のようですが、見ているのはたった2つです。
- PBRは、会社の「持ち物」に対して株価が高いか安いか
- PERは、会社の「1年の利益」に対して株価が高いか安いか
つまり、PBRは会社のいま持っている力、PERは会社のこれから稼ぐ力を見るものさしです。
まず「時価総額」を値札だと思おう
PBRとPERの両方に登場するのが「時価総額」です。これは、会社を株式市場で丸ごと買うなら、現在いくらの値段がついているかを表します。
たとえば、ある会社の株が100万株あり、1株200円なら、
100万株 × 200円 = 時価総額2億円
会社の建物に「ただいま2億円」という大きな値札がぶら下がっている、と考えれば十分です。
PBRとは「会社の持ち物」と値札を比べる数字
PBRは、会社の値札である時価総額を、会社の正味の財産である純資産で割った数字です。
PBR = 時価総額 ÷ 純資産
純資産とは、現金、建物、機械、商品などの資産から、借金などの負債を引いて残るものです。簡単にいえば、会社の持ち物を全部売り、借金を全部返したあとに残る財産です。
パン屋さんで考えてみよう
あるパン屋さんには、建物、オーブン、テーブル、レジ、材料、現金があります。借金を引いたあとの正味の財産が1,000万円だったとします。
そのパン屋さんに市場がつけた値札が2,000万円なら、
2,000万円 ÷ 1,000万円 = PBR 2倍
これは「持ち物1,000万円の店に、2,000万円の値段がついている」という意味です。
では、PBRが1倍なら必ずお買い得でしょうか。そうとは限りません。古くて使いにくいオーブンや、なかなか売れない商品が含まれていれば、帳簿上は1,000万円でも実際の価値は低いかもしれません。
反対に、人気のブランド、優秀な職人、お客様からの信頼などは、帳簿の純資産に十分表れないことがあります。そのため、成長企業ではPBRが高くなることも珍しくありません。
PBRの目安
- 1倍未満:市場の値札が純資産より低い
- 1倍:市場の値札と純資産が同じ
- 2倍:市場の値札が純資産の2倍
ただし「低い=必ず安い」ではありません。低い理由を調べるところまでが投資です。バーゲン品だと思ったら、箱だけ立派だった――では笑えません。
PERとは「何年分の利益を先に払うか」という数字
PERは、会社の値札である時価総額を、会社が1年間で稼ぐ純利益で割った数字です。
PER = 時価総額 ÷ 1年間の純利益
純利益は、売上から仕入れ代、人件費、家賃、利息、税金などを引いて、最後に会社へ残った利益です。
レモネード屋さんで考えてみよう
毎年100万円の利益を出すレモネード屋さんがあるとします。その店に1,000万円の値札がついているなら、
1,000万円 ÷ 100万円 = PER 10倍
これは「現在の利益が続くなら、店の値段は利益10年分」という意味です。
PERが20倍なら利益20年分、30倍なら利益30年分です。高いPERには「これから利益が大きく伸びそう」という期待が含まれていることがあります。一方、その期待どおりに成長できなければ、株価が下がりやすくなります。
PERの目安
- 10倍:現在の利益10年分の値段
- 20倍:現在の利益20年分の値段
- 30倍:成長への期待がかなり乗っている可能性
日本株ではPER15倍前後が一つの目安として使われることがありますが、業種や成長率で大きく違います。銀行とゲーム会社を同じ定規で測ると、定規のほうが困ります。
PBRとPERの違いを一言で
| 指標 | 何と株価を比べる? | たとえるなら | 主に見るもの |
|---|---|---|---|
| PBR | 純資産 | 家や家具など「いま持っているもの」 | 会社の土台 |
| PER | 純利益 | 毎年もらえる「おこづかい」 | 会社の稼ぐ力 |
PBRは倉庫の中身を見る数字、PERはレジから毎年いくら残るかを見る数字です。
同じ会社を両方のメガネで見る
時価総額が2,000万円、純資産が1,000万円、年間純利益が100万円の会社なら、
- PBR:2,000万円 ÷ 1,000万円 = 2倍
- PER:2,000万円 ÷ 100万円 = 20倍
この会社は「持ち物の2倍の値札」がつき、「利益20年分の値段」で買われています。
PBRだけを見ると会社の稼ぐ力がわかりません。PERだけを見ると会社が持つ財産の厚みがわかりません。だから2つを一緒に見ると、会社の姿が立体的になります。
数字が低ければ買い、高ければ売りではない
ここがいちばん大切です。
PBRやPERは、株を買うかどうかを自動で決める信号ではありません。低い数字には、業績悪化、成長の停滞、大きな借金、将来への不安などが隠れていることがあります。高い数字には、強いブランド、新商品への期待、高い成長率などが含まれることがあります。
確認したいのは次の点です。
- 売上と利益は増えているか
- 利益は一時的ではないか
- 借金は無理のない範囲か
- 同じ業種の会社と比べて高いか低いか
- その数字になっている理由を説明できるか
まとめ
- PBRは「会社の持ち物に対して、どんな値札がついているか」
- PERは「会社の1年分の利益を、何年分先に払う値段か」
- PBRは会社の土台、PERは会社の稼ぐ力を見る
- 低ければ必ず割安、高ければ必ず割高というわけではない
- 同業他社、成長率、財務、利益の中身と合わせて判断する
PBRとPERは、会社を調べる入口です。まず2つのメガネをかけ、そのあと決算書を見れば、数字の景色がぐっとわかりやすくなります。
