最近は、文章作成や画像制作、情報収集など、さまざまな仕事にAIが使われるようになりました。
確かにAIは便利です。
これまで1時間かかっていた作業が、10分ほどで終わることもあります。
しかし、ここで一つ疑問が生まれます。
AIを使えば、本当に売上が上がるのでしょうか。
私は、必ずしもそうではないと思っています。
AIを導入して作業時間が短くなっても、商品が売れるとは限りません。ブログ記事を大量に作っても、読んでもらえるとは限りません。
なぜなら、
効率化と売上は、同じものではないからです。
この違いを考えるときに役立つのが、パレートの法則です。
このページの内容
パレートの法則とは
パレートの法則とは、一般的に、
全体の成果の80%は、全体を構成する20%の要素から生み出される
という考え方です。
例えば、
- 売上の80%を、20%の顧客が生み出す
- 成果の80%が、20%の仕事から生まれる
- 問題の80%が、20%の原因によって起きる
といった場面で使われます。
もちろん、必ず80対20になるわけではありません。
「成果は均等に生まれるのではなく、一部の重要な要素に集中する」という傾向を表したものです。
では、この法則をAIに当てはめると、何が見えてくるのでしょうか。
AIが得意なのは「仕事量の80%」
例えば、ブログ記事を作る仕事には、次のような作業があります。
- 情報を集める
- 構成を考える
- 見出しを作る
- 文章の下書きを作る
- 誤字を確認する
- 表現を整える
こうした作業の多くは、AIに手伝ってもらえます。
仕事全体の80%に相当する「作業量」を、AIが効率化してくれる可能性があります。
ところが、記事を公開しただけでは売上になりません。
読者に、
「この人の話は分かりやすい」
「この会社なら相談できそうだ」
「ほかの記事も読んでみたい」
と思ってもらう必要があります。
この部分は、文章を作る作業とは少し違います。
売上を生むのは「残りの20%」
AIが文章を作れても、次のようなことを自動的に決めてくれるわけではありません。
- 誰の悩みを解決するのか
- なぜ自分がそれを伝えるのか
- 自分の経験をどう生かすのか
- 顧客とどのような関係を築くのか
- 最後にどの提案をするのか
- その結果に誰が責任を持つのか
これらは仕事量として見れば、残りの20%かもしれません。
しかし、実際には、この20%が顧客からの信頼や購入の決断に大きく影響します。
つまり、
AIは仕事の80%を処理できても、売上の80%を決めるのは、人間が担当する残り20%かもしれない
ということです。
ここに、AI時代のパレートの法則があります。
AIで記事を100本作っても売れない理由
AIを使えば、短期間で大量の記事を作ることもできます。
しかし、同じような記事を100本公開したからといって、問い合わせが100倍になるわけではありません。
AIが作った一般的な説明は、便利で読みやすい一方、ほかの人も同じように作れます。
その結果、記事の数は増えても、
「なぜ、あなたから買うのか」
という理由が弱くなってしまうことがあります。
AIが普及するほど、平均的な文章や画像を作ることは簡単になります。
しかし、簡単に作れるものは、ほかの人にも簡単に作れます。
これから価値が高くなるのは、AIが出した平均的な答えではなく、
- 実際に経験したこと
- 失敗から学んだこと
- 地域や顧客に関する知識
- 独自の視点
- 本人にしか語れない物語
- 対面で築いた信頼
といったものではないでしょうか。
AIは「売上を作る機械」ではない
AIを導入すると、つい「何を作らせるか」を考えてしまいます。
しかし、本当に重要なのは、
AIによって空いた時間を、何に使うか
です。
例えば、AIによって記事作成を3時間から1時間に短縮できたとします。
そこで浮いた2時間を使って、
- 顧客に話を聞く
- 現場を見に行く
- 自分で写真を撮る
- 商品を改善する
- 既存顧客をフォローする
- 問い合わせにつながる提案を考える
といった活動ができれば、AIは売上に貢献します。
反対に、浮いた時間で似たような記事をさらに量産するだけなら、作業量は増えても売上につながらないかもしれません。
AIそのものが売上を作るのではありません。
AIによって生まれた余白を、価値の高い20%に投資することで、初めて売上につながるのです。
AI時代に人間が担当する20%
AI時代に、人間が集中すべき仕事は次のようなものだと考えられます。
1.課題を見つける
AIは質問に答えることは得意ですが、誰が本当に困っているのかを現場で発見するのは人間です。
2.決断する
AIは複数の案を出せます。しかし、どの案を採用し、何を捨てるかを決めるのは人間です。
3.経験を加える
実際に見たこと、感じたこと、失敗したことは、その人だけが持つ情報です。
4.信頼関係をつくる
最終的に仕事を依頼するかどうかは、機能や価格だけでなく、「この人に任せたい」という感情にも左右されます。
5.責任を引き受ける
AIは提案をしても、その結果について責任を負いません。顧客に対して責任を持つことは、人間や企業の役割です。
まとめ:AIが普及するほど「人間の20%」が重要になる
AIは、仕事を効率化する強力な道具です。
しかし、AIを導入しただけで売上が上がるわけではありません。
AIが得意なのは、情報整理や下書き、繰り返し作業など、仕事量の大部分を占める80%です。
一方で、顧客の課題を発見し、独自の経験を加え、決断し、信頼をつくる仕事は人間に残ります。
そして、その残り20%が、成果や売上の80%を左右する可能性があります。
これから重要になるのは、AIに何でも任せることではありません。
AIに任せられる80%を見つけ、
人間にしかできない20%へ集中すること。
AI時代の競争力とは、AIを使って大量に作ることではなく、AIによって生まれた余白を、どこに使うかなのかもしれません。
