小学生でもわかる株のよく聞く言葉シリーズ|PBRを覚えるコツ よく聞くPBR1倍割れとは?

株のコツ

株のニュースを見ていると、「この会社はPBRが低い」「PBR1倍割れの会社に注目」といった言葉をよく聞きます。

アルファベットが3文字も並ぶと、いかにも難しそうです。しかし、PBRも考え方さえつかめば、それほど怖い言葉ではありません。

覚えるコツは、次のひとことです。

PBRは、会社の中身に対して、どんな値札が付いているかを見る数字

ここでいう「会社の中身」とは、会社が持っているものから借金などを引いたあとの純資産です。

この記事では、PBRの正式な意味や計算方法、ニュースでよく聞く「PBR1倍割れ」について、小学生にもわかるように説明します。

PBRの正式な意味は「株価純資産倍率」

PBRの正式な日本語は、株価純資産倍率(かぶかじゅんしさんばいりつ)です。

英語では「Price Book-value Ratio」といい、その頭文字を取ってPBRと呼びます。読み方は「ピー・ビー・アール」です。

計算式は、次のとおりです。

PBR = 株価 ÷ 1株あたり純資産(BPS)

つまりPBRは、今の株価が、1株あたり純資産の何倍になっているかを表します。

難しい言葉が出てきましたが、まずは次のように覚えれば大丈夫です。

  • 株価:その会社の株1株に付いた値段
  • 1株あたり純資産:会社の純資産を1株分に分けた金額
  • PBR:会社の中身に対して、株価が何倍になっているか

まずはB/SとP/Lを少しだけ復習

PBRを理解するには、会社の決算書に出てくるB/SP/Lの違いを少しだけ知っておくと便利です。

  • B/S(貸借対照表):会社が今、何を持ち、いくら返す必要があり、差し引きでいくら残っているかを見る表
  • P/L(損益計算書):会社が一定期間にいくら売り上げ、費用を使い、いくら利益を出したかを見る表

たとえるなら、B/Sは「今の貯金箱の中身」、P/Lは「今月のおこづかい帳」です。

PBRで使う純資産は、B/Sに載っています。

資産 − 負債 = 純資産

資産は現金、商品、建物、機械など、会社が持っているものです。負債は借入金や、これから支払う必要があるお金です。それらを差し引いて残る、株主の持ち分にあたる部分が純資産です。

もっと詳しく復習したい方は、次の記事を先に読むと理解しやすくなります。

小学生にもわかるBSとPL|100円の動きで学ぶ会社のお金

PBRを覚えるコツは「中身と値札」

町に、小さなパン屋さんの会社があるとします。

その会社は、現金やお店の設備などを合計で1,500万円持っています。しかし、銀行から500万円を借りています。

すると、会社の純資産は次のようになります。

1,500万円 − 500万円 = 純資産1,000万円

この純資産1,000万円が、会社の「帳簿上の中身」にあたります。

一方、株式市場では、会社全体の株に値段が付いています。これを時価総額といいます。

もし、このパン屋さんの時価総額が1,000万円なら、PBRは1倍です。

1,000万円 ÷ 1,000万円 = PBR1倍

純資産という「中身」と、時価総額という「値札」が同じになっています。

会社全体で見る式は、次のとおりです。

PBR = 時価総額 ÷ 純資産

1株で計算しても、会社全体で計算しても意味は同じです。

PBR0.7倍・1倍・2倍を比べてみよう

会社の純資産が1,000万円で同じでも、株式市場で付く値札は変わります。

PBR0.7倍

  • 純資産:1,000万円
  • 時価総額:700万円
  • 700万円 ÷ 1,000万円 = PBR0.7倍

帳簿上の中身1,000万円に対して、市場では700万円の値札が付いている状態です。

PBR1倍

  • 純資産:1,000万円
  • 時価総額:1,000万円
  • 1,000万円 ÷ 1,000万円 = PBR1倍

帳簿上の中身と、市場の値札が同じ状態です。

PBR2倍

  • 純資産:1,000万円
  • 時価総額:2,000万円
  • 2,000万円 ÷ 1,000万円 = PBR2倍

帳簿上の中身の2倍の値札が付いています。

これは、ブランド、技術、人気、将来の成長力など、B/Sの純資産だけでは表しきれない力も市場が評価している場合があります。

同じランドセルでも、「とても人気のブランド」「長く使えそう」「欲しい人がたくさんいる」と思われれば、中に入っている物の値段以上の値札が付くことがあります。会社の株にも、似たことが起こります。

よく聞くPBR1倍割れとは?

ニュースでよく聞くPBR1倍割れとは、PBRが1倍より低い状態です。

会社全体で考えると、次の関係になっています。

時価総額 < 純資産

先ほどのパン屋さんなら、純資産が1,000万円あるのに、会社全体の値札である時価総額が700万円しかない状態です。

700万円 ÷ 1,000万円 = PBR0.7倍

これがPBR1倍割れです。

よく「PBR1倍割れは、会社を丸ごと買って、持っているものを全部売り、借金を返してもお金が残る状態」と説明されます。

イメージとしてはわかりやすいのですが、実際にはそれほど単純ではありません。

建物や機械が帳簿どおりの値段で売れるとは限りません。会社を閉じるためにも費用がかかります。そもそも、純資産がそのまま株主へ返ってくるわけでもありません。

そのため、PBR1倍割れは帳簿上の純資産よりも株式市場の評価が低い状態と覚えるのが安全です。

PBR1倍割れなら、必ずお買い得なの?

PBRが1倍を割れていると、「中身より値札が安いなら、お買い得では?」と思うかもしれません。

しかし、PBRが低いだけで買うのは注意が必要です。

市場が低い値札を付けているのには、理由があるかもしれないからです。

  • 今後、赤字が続いて純資産が減りそう
  • 持っている建物や機械を、帳簿どおりの金額で売りにくい
  • 純資産は多いのに、利益をあまり生み出せていない
  • 会社の成長があまり期待されていない
  • 株主への還元や情報発信が十分ではない

たとえば、1,000円が入っているように見える貯金箱が700円で売られていても、ふたが開かなかったり、中のお金の一部が使えなかったりするなら、単純に「300円得」とは言えません。

PBR1倍割れは「買いの答え」ではなく、なぜ1倍を割れているのかを調べる入口です。

PBRが高い会社は、割高なの?

PBRが高いからといって、必ず割高とも限りません。

たとえば、次のような会社は、純資産に比べて株価が高く評価されることがあります。

  • 少ない設備で大きな利益を生み出せる
  • 強いブランドや人気商品を持っている
  • 技術、ノウハウ、人材など、B/Sに表れにくい強みがある
  • 将来、大きく成長すると期待されている

反対に、大きな工場や土地をたくさん持つ会社でも、利益が少なければPBRが低くなることがあります。

そのため、PBRは同じような仕事をしている会社同士や、その会社の過去の数字と比べることが大切です。

PERとPBRは何が違うの?

前回の記事で説明したPERと、今回のPBRは、どちらも株価の水準を見る数字です。ただし、比べる相手が違います。

指標株価と比べるもの決算書覚え方
PER利益P/L利益に対する期待の大きさ
PBR純資産B/S会社の中身に対する値札

PERは、会社が一定期間にどれだけ稼いだかという利益を使います。PBRは、会社に今どれだけ株主の持ち分があるかという純資産を使います。

学校にたとえるなら、PERは「今回のテストの点数に対する期待」、PBRは「今までそろえた教科書や道具を含めた持ち物に対する評価」のような違いです。

PERについて復習したい方は、こちらの記事もご覧ください。

小学生でもわかる株のよく聞く言葉シリーズ|PERを覚えるコツ

PBRを見るときは、何と比べればいい?

PBRにも、「何倍なら絶対に安い」という共通の正解はありません。

比べるときは、次の3つが基本です。

  1. 同じような仕事をしている会社と比べる
  2. その会社の過去のPBRと比べる
  3. 利益や成長性、株主への還元も一緒に見る

製造業のように工場や機械を多く持つ会社と、ソフトウェアやサービスを中心にする会社では、必要な資産の大きさが違います。業種が違えば、PBRの水準も変わりやすくなります。

数字が低いか高いかだけではなく、「なぜ、そのPBRになっているのか」を考えることが大切です。

まとめ|PBRは「会社の中身に付いた値札」と覚えよう

最後に、PBRのポイントをまとめます。

  • PBRの正式な意味は「株価純資産倍率」
  • 計算式は「株価 ÷ 1株あたり純資産(BPS)」
  • 会社全体では「時価総額 ÷ 純資産」でも計算できる
  • PBR1倍は、株価と1株あたり純資産が同じ状態
  • PBR1倍割れは、時価総額が帳簿上の純資産より小さい状態
  • 1倍割れでも、必ずお買い得とは限らない
  • 同業他社、過去のPBR、利益や成長性も一緒に確認する

覚えるコツは、「PBR=会社の中身に対して、どんな値札が付いているか」です。

正式名称や計算式を忘れても、「純資産が中身、株価や時価総額が値札」と思い出せれば、PBRの意味がわかりやすくなります。

PBRも、株を選ぶための答えではありません。会社をもっと知るための入口として使いましょう。

※本記事は株式投資の基礎知識を説明するもので、特定の銘柄の購入を勧めるものではありません。投資判断は、ご自身の責任で行ってください。

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