会計の本を開くと、最初にこんなことが書かれていることがあります。
会計では、貸借対照表・損益計算書・キャッシュフロー計算書の3つが大切です。
「なるほど、まずはこの3つを覚えればいいんだな」
そう思って読み進めると、今度は急に試算表という言葉が出てきます。
しかも、
- 借方
- 貸方
- 勘定科目
- 総勘定元帳
- 試算表
といった知らない言葉が続きます。
ここで、
あれ?
貸借対照表や損益計算書を知りたかったのに、なんで急に試算表?
となってしまう人は少なくありません。
実は、ここが会計の本で最初につまずきやすいポイントです。
でも安心してください。
難しいのはあなたではなく、本の説明する順番が少し不親切なだけです。
この記事では、会計の本を読むときに迷子にならないためのコツを、小学生でもわかるようにやさしく説明します。
このページの内容
- 1 会計の本がわかりにくい理由
- 2 コツ1 まずは「完成図」を先に知る
- 3 試算表は4つ目の財務諸表ではない
- 4 コツ2 試算表は「全部入りの作業台」と考える
- 5 画像で見ると、試算表はこんなイメージです
- 6 試算表の中身は、あとで2つの表に分かれる
- 7 コツ3 勘定科目は「意味」より「行き先」で見る
- 8 貸借対照表は「今の会社の写真」
- 9 損益計算書は「商売の成績表」
- 10 キャッシュフロー計算書は「現金の動画」
- 11 コツ4 「現金」と「利益」を分けて考える
- 12 コツ5 借方・貸方は最初から完璧に覚えなくていい
- 13 コツ6 試算表は「途中の駅」だと考える
- 14 会計の本を読むおすすめの順番
- 15 わからなくなったときの3つの質問
- 16 まとめ|会計の本は「完成図」から読むのがコツ
会計の本がわかりにくい理由
会計初心者が知りたいのは、たいてい次のようなことです。
- 会社には今いくらお金があるの?
- 借金はあるの?
- 今年はもうかったの?
- 現金は増えたの?
ところが、会計の本はよくこんな順番で説明します。
取引
↓
仕訳
↓
勘定科目
↓
総勘定元帳
↓
試算表
↓
貸借対照表・損益計算書・キャッシュフロー計算書
これは、会計を作る人の順番です。
でも、読む人が知りたいのは、まず完成した形です。
たとえば家を見たいのに、いきなり
「まずレンガの積み方を説明します」
と言われたら、ちょっと困りますよね。
会計の本も、これに少し似ています。
コツ1 まずは「完成図」を先に知る
会計の本を読むときは、最初に細かいことを全部覚えようとしなくて大丈夫です。
まずは、次の3つだけをつかみましょう。
| 表の名前 | 何がわかる? | たとえ |
|---|---|---|
| 貸借対照表 | 今の会社の状態 | 写真 |
| 損益計算書 | どれだけもうかったか | 成績表 |
| キャッシュフロー計算書 | 現金がどう動いたか | 動画 |
つまり、
- 貸借対照表=今の状態
- 損益計算書=もうけ
- キャッシュフロー計算書=現金の動き
です。
この3つが、いわゆる財務三表です。
試算表は4つ目の財務諸表ではない
ここがとても大切です。
試算表は、貸借対照表や損益計算書と同じ「完成品」ではありません。
試算表は、簡単にいうと、
会社のお金の記録を、いったん全部まとめた表
です。
つまり、完成した決算書ではなく、決算書を作る前の途中の集計表です。
コツ2 試算表は「全部入りの作業台」と考える
試算表には、会社で使ったいろいろな勘定科目が並びます。
たとえば、
- 現金
- 売掛金
- 借入金
- 資本金
- 売上
- 家賃
- 給料
などです。
これらは、まだバラバラに並んでいるだけです。
料理でたとえるなら、試算表は調理前の作業台です。
- 野菜
- 肉
- 調味料
- お皿
が全部並んでいても、それはまだ料理ではありません。
同じように、試算表もまだ完成形ではありません。
画像で見ると、試算表はこんなイメージです

この図を見ると、試算表には次のようなものが一緒に入っていることがわかります。
- 資産
- 負債
- 資本金
- 収益
- 費用
つまり、試算表は全部入りの集計表です。
試算表の中身は、あとで2つの表に分かれる
試算表の中にあるものは、あとで次のように分かれます。
試算表
├─ 資産・負債・資本金 → 貸借対照表
└─ 収益・費用 → 損益計算書
つまり、
- 貸借対照表には、今の会社の財産や借金が入る
- 損益計算書には、売上や費用が入る
ということです。
コツ3 勘定科目は「意味」より「行き先」で見る
会計の本では、いろいろな勘定科目が出てきます。
でも最初は、意味を全部覚えなくても大丈夫です。
まずは、
この数字はどこへ行くのか
を見ると、かなりわかりやすくなります。
| 勘定科目 | 行き先 |
|---|---|
| 現金 | 貸借対照表 |
| 売掛金 | 貸借対照表 |
| 借入金 | 貸借対照表 |
| 資本金 | 貸借対照表 |
| 売上 | 損益計算書 |
| 給料 | 損益計算書 |
| 家賃 | 損益計算書 |
これだけでも、会計の本の見え方がかなり変わります。
貸借対照表は「今の会社の写真」
貸借対照表は、ある時点での会社の状態を表します。
たとえば、会社に次のような状態があるとします。
- 現金300円
- まだ払っていないお金200円
- 会社に残った利益100円
このとき、貸借対照表は次のようなイメージです。
| 左側:資産 | 金額 | 右側:負債・純資産 | 金額 |
|---|---|---|---|
| 現金 | 300円 | 未払金 | 200円 |
| 利益 | 100円 | ||
| 合計 | 300円 | 合計 | 300円 |
見るコツはシンプルです。
- 左側=今持っているもの
- 右側=そのお金がどこから来たか
と考えるとわかりやすいです。
損益計算書は「商売の成績表」
損益計算書は、一定期間の商売の成績を表します。
たとえば、
- 売上300円
- 費用200円
なら、利益は100円です。
| 左側:費用 | 金額 | 右側:収益 | 金額 |
|---|---|---|---|
| 費用 | 200円 | 売上 | 300円 |
| 利益 | 100円 | ||
| 合計 | 300円 | 合計 | 300円 |
つまり、
売上300円 − 費用200円 = 利益100円
です。
キャッシュフロー計算書は「現金の動画」
キャッシュフロー計算書は、実際に現金がどう動いたかを見る表です。
ここで大切なのは、
利益と現金は同じではない
ということです。
たとえば、
- 売上300円
- 費用200円
- でもその費用はまだ払っていない
なら、
- 利益は100円
- 現金は300円
ということが起こります。
会計の本で混乱しやすいのは、この
「もうけ」と「現金」が別の話だからです。
コツ4 「現金」と「利益」を分けて考える
ここは本当に大事です。
初心者が混乱しやすいのは、
もうかったなら、その分だけ現金があるはず
と思ってしまうからです。
でも会計では、そうとは限りません。
たとえば、
- 売上は立った
- でもまだ入金されていない
- 費用はかかった
- でもまだ払っていない
ということがあるからです。
だから、
- 損益計算書は「もうけ」を見る
- キャッシュフロー計算書は「現金の動き」を見る
と分けて考える必要があります。
コツ5 借方・貸方は最初から完璧に覚えなくていい
会計の本を読むと、すぐに借方・貸方が出てきます。
ここで一気に暗記しようとすると、かなり疲れます。
最初は、次の3つだけで大丈夫です。
- 何が増えたのか
- 何が減ったのか
- その数字はどの表へ行くのか
たとえば、商品を現金で100円売ったなら、
- 現金が増えた
- 売上が増えた
という出来事です。
まずはこの出来事を理解してから、
あとで借方・貸方の位置を覚えれば十分です。
コツ6 試算表は「途中の駅」だと考える
試算表はゴールではありません。
試算表は、会計の流れの中では途中の駅です。
流れをシンプルにすると、こうなります。
取引
↓
仕訳
↓
集計
↓
試算表
↓
貸借対照表・損益計算書
↓
キャッシュフロー計算書
だから、試算表が出てきても、
あ、ここはまだ途中なんだな
と思えば大丈夫です。
試算表で迷ってしまうのは、そこをゴールのように見てしまうからです。
会計の本を読むおすすめの順番
初心者には、次の順番がおすすめです。
1.まず財務三表の役割を知る
- 貸借対照表=今の状態
- 損益計算書=もうけ
- キャッシュフロー計算書=現金の動き
2.次に試算表の位置を知る
- 試算表は完成品ではなく途中の集計表
3.勘定科目の行き先を見る
- 現金や借入金は貸借対照表
- 売上や家賃は損益計算書
4.現金と利益の違いを知る
- 利益が出ても現金があるとは限らない
- 現金があっても自由に使えるとは限らない
5.最後に借方・貸方を覚える
- 全体像が見えてから覚えたほうが楽です
わからなくなったときの3つの質問
会計の本を読んでいて迷ったら、次の3つを自分に聞いてみてください。
1.これは完成した表?それとも途中の表?
- 貸借対照表・損益計算書・キャッシュフロー計算書は完成形
- 試算表は途中の表
2.この数字はどこへ行く?
- 現金や借金なら貸借対照表
- 売上や費用なら損益計算書
3.これは現金の話?利益の話?
- 現金と利益は同じではない
この3つを分けるだけで、かなり整理しやすくなります。
まとめ|会計の本は「完成図」から読むのがコツ
会計の本で迷子になりやすいのは、
- 財務三表が大事と言いながら
- その前に試算表や仕訳の説明が出てくる
からです。
でも、試算表は4つ目の決算書ではありません。
試算表は、
貸借対照表と損益計算書を作る前に、数字をいったん全部まとめた表
です。
だから、会計の本を読むときは、次の順番を意識すると読みやすくなります。
- まず完成図を見る
- 試算表は途中の表だと知る
- 数字の行き先を見る
- 現金と利益を分ける
- 借方・貸方はあとから覚える
会計の本は、最初から全部わからなくて大丈夫です。
むしろ大切なのは、
今どの話をしているのか
その数字はどこへつながるのか
をつかむことです。
試算表で迷子になっていた人も、
「これは途中の集計表なんだ」とわかれば、会計の本がぐっと読みやすくなるはずです。

