会社で起きたことを拾う「事件記者」になってみよう
簿記は、会社で起きたすべての出来事を記録するわけではありません。
社長が寝坊した。
会議が長引いた。
お客さんから電話がかかってきた。
新しい仕事の相談を受けた。
会社にとっては大切な出来事かもしれませんが、通常は簿記には記録しません。
簿記が記録するのは、会社のお金や財産に変化が起きた出来事です。
これを簿記上の取引といいます。
取引は「会社のお金に影響した事件」
ひとりでWeb制作業をしている人を例にします。
次の出来事があったとします。
お客さんとホームページ制作について打ち合わせをした
まだ契約も入金も発生していなければ、簿記には通常記録しません。
次に、正式に仕事を受注して、ホームページを納品しました。
ホームページ制作代として10万円を請求した
この段階では、代金をまだ受け取っていなくても、「10万円を受け取る権利」が発生しています。
そのため、簿記上の取引になります。
さらに、お客さんから10万円が振り込まれました。
これも、売掛金が減って預金が増えるため、取引です。
簿記は、会社のお金や財産に影響を与えた事件だけを拾う記者のようなものです。
注文しただけでは記録しないことがある
ネットショップでパソコンを注文したとします。
ただし、まだ商品は届いておらず、支払いも行われていません。
この時点では、通常、簿記上の取引として記録しません。
商品が届いた。
代金を支払った。
後払いの義務が発生した。
こうした変化が起きた段階で記録します。
レストランでメニューを眺めているだけでは注文にならないのと同じです。
「これにしようかな」と考えている段階と、正式に注文した段階は違います。
簿記も、会社のお金や財産が実際に変化した瞬間を記録します。
取引を見つけたら、次は仕訳する
取引を見つけただけでは、まだ簿記の記録にはなっていません。
出来事を簿記の言葉に翻訳する必要があります。
現金で商品を1,000円販売した場合は、
現金が1,000円増えた
売上が1,000円発生した
と考えます。
そして、
現金 1,000円 / 売上 1,000円
と記録します。
この作業が仕訳です。
次の記事では、仕訳を「左右2つの箱に荷物を入れる作業」にたとえて説明します。

